ETロボコン2015参加チームの皆さん、こんにちは。
7月も最終週になり、試走会の始まった地区も多いですね。いよいよ開発も佳境、モデルを前に頭を抱える日々が続いているでしょうか。
さて、今回の記事から、読んでみたい!と感じさせる提出モデルの整え方を紹介していきます。この内容は6月20日に開催された北陸地区の独自教育1で、チェンジビジョンの松田がお話した内容をより一般的にして解説するものです。北陸地区では過去大会の実モデルを例に詳細な解説がなされましたが、このブログではドキュメントをどう見せるかという基本的な部分をお話します。
では、早速本題に入りましょう。
チームやプロジェクトのメンバで額を寄せ合って?悩み、仕上げた設計モデルはぜひ多くの方に見て(読んで)もらいたいですね。ぱっと見た印象で読んでみたいと感じさせるモデルにするドキュメントの魅せ方のコツ「りりぃメソッド」を紹介します。
「読みたくなるモデルを描くコツ ~「りりぃメソッド」で提出モデルをブラッシュアップ~」
ETロボコンの提出モデルに的を絞って、魅せるドキュメントを作るコツを集めたのがりりぃメソッドです。(「りりぃ」は松田の愛称です)
- 【フォント編】 第一印象は全ての始まり、そのフォントで大丈夫?
- 【レイアウト編】 流れを見せるレイアウト、見てほしい順序で視線を動かすレイアウトとは
- 【強調のテクニック】 一番伝えたいことは何?、強調のテクニック
- 【ひと手間を大事に】 見た目を決めるのはそのひと手間、画像とレビューを侮るなかれ
- 【おまけの資料集】 これを読んだらあなたもデザイナー? お薦めの資料集
いざ読もうとしたときに第一印象の良いモデルは、見る人を惹きつけ読んでもらえるチャンスを高めます。また、審査員の方々は、モデルを通じて参加チームの皆さんに出会うと思ってください。提出モデルというドキュメントから受ける印象は、直接会う前からチームの印象を作ります。
提出モデルの紙面を考えてみると、おそらく半分以上は文字で埋まるでしょう。フォントを変更するだけでモデルの印象がガラッと変わります。
- ギザギザしたフォントは避けよう
ビットマップフォントと呼ばれるドットの集まりで構成されたフォントがあります。こうしたフォントはPCの画面上で表示しているときは問題なくても、提出する紙に印刷して鮮明に見えるかを確認する必要があります。
- 漢字も判別しやすいフォントを使おう
例えば、丸ゴシックやポップ体といった小さいサイズにするとつぶれやすいフォントがあります(下画像)。各フォントには適したサイズが存在するため、どのサイズで読ませたいのかを考え、特に漢字がつぶれにくいものを選びましょう。
- 文章量によってフォントを選ぼう
ぱっと見たときに、重たい、黒いと感じるようなドキュメントは、無意識に読むことへの抵抗感(めんどくさい)を呼び起こします。あえて情報量(文章量)を多くしたい場合は、ゴシックより明朝を用いるなど、線が細めのフォントを使い、余白を感じさせるようにしてみましょう。 - フォントに合わせて行間を設定しよう
同じ種類のフォントでも行間の広い狭いによって、ずいぶん見た目の印象が変わります。適切な行間を設定することで全体の印象をすっきりさせられます。
- 文字サイズに気を配ろう
3、4ともつながりますが、文章量を多くすると文字サイズも小さくなりがちです。小さい文字は見る人(審査員や観覧者)にとって不便を感じさせたり、置かれる(掲示される)位置によっては見えなくなったりすることもあります。ここでもやはり提出する紙に印刷した状態で、できればメンバ以外の人に確認してもらいましょう。
音楽の世界でよく使われるコントラスト(メリハリを付ける)は、ドキュメントやモデルを作成する上でも大切です。時間に追われる審査員に、まずは見出しを追いかけてもらうことは、提出モデルをより詳しく見てもらう第一歩かもしれません。
背景と文字の色
文字を認識しやすくするためには、背景色と文字色のコントラスト(明暗の差)を大きくする方法があります。白地に淡いグレーの文字より、黒色の文字の方が読みやすいでしょう。
ただし、注意その1: 補色(色相環で正反対の位置にある色)に近い色を選ぶとメリハリが付きすぎてかえって見にくくなります。
注意その2: 濃い色の背景に薄い色の文字を載せると、印刷で文字がつぶれてしまう場合があります。特にインクジェットプリンタは滲みやすいので、この組み合わせはお薦めできません。薄い色の背景に濃い色の文字を載せると読みやすさと美しさを兼ねやすいです。
ETロボコンでは、チーム紹介や設計コンセプトを記すコンセプトシートを1枚、モデルを5枚提出します(全てA3サイズ)。ここでは、 架空の参加チーム「アスター」がコンセプトシートを作りました。(注:右半分は規定の見出しのみです)
このコンセプトシートの改善ポイントを挙げてみると
- 「チーム紹介」 丸みの強いフォントを使っているため、漢字がつぶれて見えている。行間が狭い。
- 「未来へ一言」 文字の色が薄くコントラストが小さいため、読みづらい。
- 「意気込み」 ビットマップフォントを使っているため、大きな用紙に印刷した時にぼやけやすい。
では、「りりぃメソッド:フォント編」でブラッシュアップしてみましょう。
簡単な改善ですが、見た目がすっきりしましたよね。
「ETロボコン提出モデルをブラッシュアップ 【りりぃメソッド:フォント編】」への3件のフィードバック