
2026年3月、私たちチェンジビジョンのエンジニア4名は、株式会社フューチャーセッションズ (現:アーティクル株式会社)様が提供する「Future Scenario Prototyping(FSP)」のトライアルセッションに参加しました。
FSPは、参加者自身が問いを立て、AIとの対話を重ねながら未来シナリオを「試作」するプログラムです。
テーマは「AI時代のものづくりの未来」。普段の業務からは少し離れた、しかしエンジニアとして避けては通れない問いに、4時間まるごと向き合う時間になりました。
当日のセッション全体の流れや、最終的に描き出された4つの未来シナリオの詳細については、フューチャーセッションズさんが丁寧なレポートを公開してくださっています。
本記事では、参加者側の視点から「なぜ参加したのか / 何が起きたのか / 何を持ち帰ったのか」を中心にお伝えしたいと思います。
▼フューチャーセッションズさんによるレポートはこちら
【レポート】AIと「未来を試作する」── Future Scenario Prototyping
なぜ参加したのか
私たちチェンジビジョンでは、社内文化づくりを目的とした「Beacon」という活動を進めています。リモートワークが定常化するなかで、「同僚から仲間へ」を合言葉に、対話と共創の機会をどう増やしていけるかを模索してきました。
ただ、社内の取り組みだけでは見えてこないものがあります。業務から少し離れた「遠い問い」を、普段とは違うメンバーや外部の知見と一緒に考える場 ── そういう場が、チームに新しい視点をもたらすのではないか。そんな仮説を持っていたタイミングで、フューチャーセッションズさんからFSPのトライアルのお話をいただきました。
参加メンバーは、エンジニアの妹背、栗間、島田、私(藤戸)の4名。専門領域もAIとの距離感もそれぞれ異なる4人で、「AI時代のものづくり」というテーマに挑むことになりました。
4時間で起きたこと
セッションは、一人ひとりの関心事を持ち寄るところから始まりました。エンジニアとしてのキャリア、日本のものづくり、AIと人間の創造性 ── 出発点は見事にバラバラです。
そこから、AIが生成するたたき台に対して「これは違う」「ここをもっと深めたい」とフィードバックを返し、再生成する。「AIがつくる」のでも「人がつくる」のでもなく、両者を行き来しながら磨いていく 感覚は新鮮でした。
特に印象的だったのは、問いが3回ブラッシュアップされていった過程です。最初は個々の関心ごとがバラバラに並んでいた状態から、対話を重ねるうちに、「知的生産が人間の特権でなくなったとき、私たちは誰のために、何をつくり、そこにどんな喜びを見出すのか?」 という、4人が本気で考えたくなる問いに収束していきました。
AIに任せれば数秒で「それっぽい問い」は出てきます。でも、自分たちの言葉で磨き直したからこそ、その先のシナリオづくりに本気で関われた ── これが一番の発見だったかもしれません。
参加者の声
最初の問いは全て人力で立てて、そこからAIに議論のたたき台を作らせては突き返し、揺さぶりながら最終的なアクションまで落とし込むプロセスが新鮮で面白かったです。人間だけだとかなりの時間がかかりそうな議論をAIのアシストで4時間でやりきれたのも良く(それでも本来は数日はかけるらしいですが)、新しいAI活用の形を体感できました。
持ち帰ったもの
成果物としては、2041年の4つの未来シナリオと、それぞれに対応する行動仮説が手元に残りました。ただ、私たちにとって本当に価値があったのは、シナリオそのものよりも 「4人で本気で未来を語り合った体験」 のほうだった気がしています。
普段の業務では、目の前のプロダクトや顧客の話が中心になります。15年後の世界を、しかも自分たちの仕事の延長線上で語る機会は、意識して場を作らないと生まれません。FSPは、その「場」を構造化して提供してくれるプログラムでした。
社内文化づくりを進める観点でも、いくつかの示唆がありました。
- 目的のある場には、人は集まり、深い会話が生まれる ── これは私たちが社内のイベントを通じても感じてきたことですが、改めて確認できました
- 「遠い問い」が、近い関係を作る ── 業務の話では出てこない一面が、未来の話をすることで見えてきた
- AIは対話のパートナーになりうる ── ただし、磨くのは人の側の役割
藤戸の感想
普段、一緒に仕事をしているメンバーとも、社外の方とも、「将来どうなっていくんだろう」という話をする機会は、実はほとんどなかったと気づきました。目の前の仕事に追われていると、そういう話はついつい後回しになってしまう。
でも、いざ場を作ってみると、ちゃんと話せるんですよね。FSPのプロセスを通じて、15年後の自分たちの仕事を、同じメンバーで本気で考えられたのは、シンプルによい時間でした。「場があれば、話は生まれる」── Beacon活動でずっと信じてきたことを、自分自身が体験として確認できた4時間でもありました。

おわりに
FSPは「未来を当てる」プログラムではなく、フューチャーセッションズさんの言葉を借りれば「未来を想像することで、いまの自分を動かす」プログラムでした。
シナリオは描き終わりましたが、ここからが始まりです。
社内でこのアウトプットをどう共有し、対話の輪をどう広げていくか ── 引き続き取り組んでいきます。
最後になりましたが、トライアルの機会をくださったフューチャーセッションズの富田さんをはじめとするスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。