新人、アルバイトをどう育てるか?ツールベンダーが実践する教育プログラムとそれを支えるCV-Labとは(前編)

ソフトウェア開発やシステム開発のプロジェクトでは、規模が大きくなるほど部門やチームの構成員が100%自社メンバー(プロパーと呼ばれることも多い)であることは少なくなっています。経験豊富な協力企業はもちろんのこと、新人やインターン、アルバイトといった人材を積極的に育成、活用することで業務を完遂する場面が多いでしょう。
今回は前後編の連載として、モデリングツールastah(アスター)の自社開発・販売を事業の中心に据えるチェンジビジョンにおいて、若い世代を主とした新しい人材をどのように育成しているか、その役割を担うCV-Lab(シーブイラボ)とはどんな部門なのか、社員2名(細合晋太郎、木村展仁)のインタビューを通して明らかにします。前編では、学生アルバイトの皆さんをどのように育成しているかについて詳しく聞きました。

※社員インタビューですが、会話の様子をお伝えするため、細合さん、木村さんのように敬称を付けた表現を用いています。

ある日決まった、学生アルバイトの指導担当

Q:細合さんは、新しくチェンジビジョンに入られる方の導入教育を担当されていますが、何かきっかけがありましたか?

細合:元々、新入社員を対象とした導入教育には関わっていました。2020年春からアルバイトを増やし、育成が本格化したこともあり、2020年の終わりごろから私が彼らの教育や指導を担当するようになりました。

木村:そうですね。2020年末に福井高専に行きまして、何人かアルバイトに興味を持ってくれた学生さんが来てくれることになって、その方たちへの指導をお願いしたのが始まりです。(※アルバイトはリモートワークを中心としています。)
目論見としては採用ですが、学生の頃からインターンのように長期で関わってもらって、お互いをよく知って、その先に結果として入社につながると嬉しいなという気持ちでやっています。

Q:指導を任されて、どのように感じましたか?

細合:元々、大学など教育機関に長く居たので、若い人たちと接することには違和感も抵抗もなく、楽しんでやっています。

Q:アルバイトの皆さんに共通する雰囲気や傾向はありますか?

細合:今、6人の学生さんが来てくれていて、みんな素直です。でも、受け身で言われたことしかやらないというわけではなくて、頼んだこと以上をしっかりこなしてくれる、他に気づいたことがあれば自然に試してくれるというような皆さんで、若者はすごいなと感じています。単純にできないという時はほぼ無くて、分からない時はこちらに相談してくれるので、抱え込んだまま一人で作業を止めてしまうようなことはありません。

知っているようで分からない、モデリングをどう伝えるか

Q:モデリングを知らない人たちに分かってもらうためには何がポイントになりますか。

細合:チェンジビジョンのアルバイトに興味を持つ学生は、プログラミングは多少経験しているものの、モデリングはほぼ経験がありません。今来てくれている6名はモデリングを知らない状態から始めています。まずは、導入として一般的なモデリングの知識を教材を使って教えますが、その時点ではモデリングの嬉しさが腑に落ちる人はほとんど居ません。その後、業務の中で本人の思ったようにプログラムを書いてもらうと、プログラムの構造がどんどん複雑になってくるので、図を描いて整理してみようと声かけをするようにしています。どんな図があると便利かとか、例えばプログラムの外側から見て、誰がこのシステムを使うのかを考えてユースケースを描いてみようとか、真ん中にプログラムを置いて、ソースコードを書いた経験を元にモデルを捉えてもらっています。

参考:実践している教育プログラムの流れ

ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2021のワークショップ「WS3:ソフトウェア教育と評価」にて「モデリングツール開発における新人、アルバイト教育について」というタイトルで発表した資料から抜粋・編集したものです。

業務で使用するアプリケーションやサービスの一例

  • Trello(カードでタスクを見える化するプロジェクト管理ツール)
  • Slack(チームコミュニケーションツール。アルバイト専用チャンネルを用意している)
  • Github(ソースコードホスティングサービス)

Q:教材を作る上で気を付けていることはありますか?

細合:プログラムとモデルの対応をどう伝えるかは気を付けています。どちらかだけ教えても別々のものになってしまうので、プログラムのこの部分がモデルのここに当たる、モデルをこう描くとプログラムがこのようになるという対応関係を意識しながら教材に反映しています。単にお絵描きしているわけではなく、モデルを描く、活用することで、ソフトウェア開発がより分かりやすくなる、困った時にモデルを描いてみようかなという感覚を持ってもらえるといいです。

Q:アルバイトの皆さんが携わっている業務を教えてもらえますか?

木村:例えば、マーケティングオートメーションソフトウェアとWEBサイトのデータを連携させたり、スプレッドシートからHTMLを生成する仕組みを作ったり、自社製品の開発で急遽必要になった調査やテストを担当したりと、かなり柔軟に対応してもらっています。

Q:性質の違う何人もの人と同時にコミュニケーションをとらないといけない立場で、ある業務をアルバイトに割り振る時に、できる・できないはどうやって判断されていますか?

細合:これまでにやってもらった業務とシフトです。この内容をこれくらいのペースでこなしてくれたから今回はできるだろうとか、新しい言語のキャッチアップが早い人には全く新しい環境にトライしてもらうとか、納期まで短ければしばらく頻繁に来てもらえる人にしようとか、そういったことを見ています。

Q:業務の進捗ではどんなツールを使っていますか。

細合:今はTrelloのタスクボードです。最初の頃は私がメモを書いていましたが、学生の皆さんは学業が最優先ですから、試験の時期などは二週間空いたりします。アルバイトの人数も増えてそのうち把握が難しくなってきたので、Trelloのカードに、各人が今何をしているのかを書いてもらうようにしました。自分でカードを追加したり、Todoのまま状態が変わらないものはDONEにできる小さなタスクに分解したりしてくれています。こちらが依頼するタスクが曖昧で分解できずに困らせてしまうこともあるので、そこは注意点です。

常にフラットな姿勢で接する

Q:アルバイトの業務管理やケアではどんなことを意識していますか?

細合:怒らないこと、否定しないことです。教育や日々の指導を担当することになった時点から、声をかけられないような態度は取らないようにしています。

Q:何のためにそうしていますか?

細合:怒られて面白く感じる人は居ませんよね。モチベーションを落とすことが最も不要で、わざわざ褒めようとはしていませんが、うまくいった仕事に対してはこちらが構えることなく素直に良いところを伝えています。

Q:皆さんの成長を実感する場面を聞かせてください。

細合:こちらが頼んだ以上のことをやってくれる、自分で問題解決している、そんな場面です。ある日、エラー発生時に英語のドキュメントサイトでユーザーコメントから解決方法を探してきて、それを自分の問題に置き換えて実装して解決したという報告を見て、驚きました。英語への抵抗も無い様子で、情報源となるサイトを使うようになっています。他には、Slackで挙がった質問に対して、以前の対応を踏まえつつアルバイト同士で助け合う場面も増えています。

木村:細合さんが全てを管理しないといけない状態をいずれ脱して、アルバイト同士で業務を進められるようになると、人の育成もさらにできるのではと考えています。

Q:アルバイトも全員リモートワークですね。どんなところが良いですか。

細合:いつでも声を掛けられますし、掛けてくれます。集中しているからこそ硬い表情やしかめ面になったりしますが、Slackでは直接顔が見えないからこそメッセージを送りやすい面もありますね。ラフなコミュニケーションにはとても便利です。

仕事の中でつながりができ、困りごとをすくいあげる機会が生まれる

Q:アルバイトを人材として活用することで、何を目指していますか?

木村:業務内容を限定しないことでスキルを身に付けてもらって、作業の中から社内のつながりができて、気づいた困りごとをすくいあげ対応するチャンスを得る、というのが目指している流れです。

前編はここまで、後編は来週の公開です。どうぞ前後編を併せてお読みくださいね。

プロフィール

細合晋太郎(ほそあいしんたろう)

2014年北陸先端科学技術大学院大学 博士後期課程後、九州大学大学院 システム情報科学研究院 学術研究員としてenPiTプロジェクトにて組込みシステムの教育に従事、2016年4月、チェンジビジョンに参画。モデリングツール astahやSTAMP Workbenchの開発および、モデリング技術に関するコンサルティングを担当し、現在はCV-Lab主宰。博士(情報科学)

木村展仁(きむらのぶひと)

事業推進部 部長。2003年、株式会社永和システムマネジメント入社。UMLモデリングツールJUDE(現、astah)の事業化に向け、市場のサーベイ、調査。社内インフラの整備・開発、モデリングツールastahや内部統制支援ツールJUDE/Bizの企画・開発、上場企業向け内部統制コンサルティング等に従事。2008年、財務経理担当に転身。2016年全部部長。現在は、個人個人の真摯な在り方が組織を創るという思いのもと事業運営全般を支える。修士(経済学)

参考リンク

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